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Showing posts from September, 2021

ひとり寿司第5章パート1

「ひとり寿司」をブログに連載します! ひとり寿司 寿司シリーズの第一作 キャミー・タング 西島美幸 訳 スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。 ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。 そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。 エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。 レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり —— 過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。 *** 5  痩せた女の子がトリッシュの全身にコーヒーを噴き出しているところを、エイデン・ヤングは新聞の端からチラッと見た。 「ああっ!」トリッシュは飛び上がって手を上下にバタバタさせた。「これ、新しいのよ! それで、このコーヒー! レックスどうして——」 エイデンは新聞紙の陰にまた隠れた。トリッシュはメロドラマのヒロインだ。 「トリッシュ、あなた、ちょっと大げさ過ぎない?」長身で痩せた女の子——レックス?—— はトリッシュより声が低かったが、さっきは聞こえなかった不安定で震えるよう

ひとり寿司第4章パート3

「ひとり寿司」をブログに連載します! ひとり寿司 寿司シリーズの第一作 キャミー・タング 西島美幸 訳 スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。 ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。 そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。 エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。 レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり —— 過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。 *** 「だって、無数にいるあなたのボーイフレンドの一人とデートした、ってだけでしょ。そんなこと忘れなさいよ」 「ボーイフレンドの一人だけじゃないわ。私のボーイフレンドを盗むのは、あの子の使命なの。家族の集まりに男の子を連れて行くと、必ずあの子が攻撃を仕掛けてくるのよ」 「やめて、必ずってことはないでしょ」 「あの子に会った途端に私を捨てて、別れてから二週間以内にあの子とデートした男を数えたら、最低六人はいるわ」トリッシュは挑戦的な目でレックスを釘付けにした。 数字を持ち出されると、レッ

Excerpt - The Wedding Kimono

This year, I'll be releasing my first Christian Contemporary Romance in 5 years! The Wedding Kimono is the prequel novella for my new series, the Warubozu Spa Chronicles , and will be released in Save the Date , a Christian Romance Wedding anthology, on October 12th. Here’s the back cover description: Raised by a single father with two older brothers, tomboy Lila has often been mistaken for a young man because of her androgynous looks. However, she's very popular with the women at the massage therapy spa where she works, who love her older-sister vibe. She feels this is where God wants her to be, helping women feel beautiful and good about themselves. Secretly she's attracted to her boss at work, spa manager Fred, but she holds no hope since there's nothing feminine about her, and she's four inches taller than he is. Then, when cleaning out the attic for her father, she finds her maternal grandmother's gorgeous antique wedding kimono. Being half-Japanese

ひとり寿司第4章パート2

「ひとり寿司」をブログに連載します! ひとり寿司 寿司シリーズの第一作 キャミー・タング 西島美幸 訳 スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。 ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。 そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。 エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。 レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり —— 過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。 *** ********** ショッピングのライセンスを手にしたトリッシュは、見るのも恐ろしい。 他人のために買い物をするライセンスを持ったトリッシュは、東京を引き裂くゴジラのようだ。 トランズ・ニュークリアコーヒーショップに入ったレックスは、挽きたてのコーヒーの香りを吸い込んだが、疲れた筋肉は癒されなかった。冷たい金属製の椅子に沈み込むようにすわり、ガラスのテーブルの上に肘を置いた。「ソイラテをお願い、ダブルショットで」 トリッシュはバッグに手を突っ込んで財布を探した。「ああ疲れた」

Join Camy's Street Team for Save the Date!

Hey guys, I’m sorry for the change, but the release date for Save the Date has been moved to October 12, 2021. That also means you have more time to sign up to join my Street Team to help me promote the book. Please see the details below. Thanks! Would you like to help promote my upcoming Christian Contemporary Romance anthology, Save the Date ? I’m planning a blog/Facebook/Instagram tour for the week of OCTOBER 10-17, 2021, which is the week that Save the Date releases. If you post about Save the Date during that week, you will get a free, Advance Release copy of my ebook, The Wedding Kimono ! Plus you’ll get two versions, the shorter abridged version that appears in Save the Date , and the extended version (about 10,000 words longer) which will not be released until late next year (2022). All you have to do is post on your blog/Facebook page/Instagram page about Save the Date DURING THE WEEK OF OCTOBER 10-17. I’ll give you a link to a Google Drive folder with sev

What's up with Camy (and no, I'm not dead yet)

(TMI warning) I’ve been offline for most of August and September with really bad IBS problems. I couldn’t figure out what I was eating that was triggering my flareups, and at the time, I also didn’t realize that stress might be also causing some of the IBS problems as opposed to food. I went on a complete elimination diet to try to get the IBS to calm down. About a week later, I started getting terrible sinus headaches, most likely from the smoke from the California wildfires that was blowing into the bay area. I was limited in what I could take to treat the headaches since most medicine made my stomach queasy, thanks to my IBS issues. It took me about 2 weeks before I realized that my headaches were probably worse because, as part of the elimination diet, I had stopped taking my allergy supplements (allergy medicine, as well as butterbur, quercetin and bromelain). I started the supplements up again but it took about a week before my headaches went away. While I’m glad my heada

ひとり寿司第4章パート1

「ひとり寿司」をブログに連載します! ひとり寿司 寿司シリーズの第一作 キャミー・タング 西島美幸 訳 スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。 ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。 そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。 エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。 レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり —— 過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。 *** 4 「分かりました。待ちます」レックスは電話を持つ手をゆるめた。「行ったり来たりしないでくれる? 緊張するじゃない」 トリッシュは、オレンジ色と茶色のストライプのソファの上にドスッとすわった。 「じゃあさ、キンムンが乗り気じゃなかったことが、ちょっとでも気にならないの?」 トリッシュの知ったかぶりな様子にレックスはイライラし、心の中でつぶやいた。(そんなに乗り気じゃないわけではなかったと思うけど?)「そのことは後で話そうよ。今、電話中だから」レックスは古いレイジーボーイ・チェア

ひとり寿司第3章パート4

「ひとり寿司」をブログに連載します! ひとり寿司 寿司シリーズの第一作 キャミー・タング 西島美幸 訳 スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。 ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。 そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。 エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。 レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり —— 過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。 *** 「ママのとこへ帰りな」キンムンがオムツを履いたお尻をぽんと叩くと、幼児はよろよろと歩いていった。 「それで、キンムン——」 流れるような動きで、彼はそのひょろっとした体を持ち上げた。「みんなと食べに行くんだろ?」ドアの方へ向かった。 レックスのことを待ちもしない。レックスは苛立ちを呑み込んで立ち上がり、バッグをつかんで彼を追った。 とりあえず、ジムから出るとき、ドアだけは押さえていてくれた。 みんなが駐車場へ向かう中、二人の周りには他の選手たちがいた。 「どこへ食べに行く