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「ひとり寿司」をブログに連載します!
ひとり寿司
寿司シリーズの第一作
キャミー・タング
西島美幸 訳
スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。
ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。
そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。
エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。
レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——
過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。
ショッピングのライセンスを手にしたトリッシュは、見るのも恐ろしい。
他人のために買い物をするライセンスを持ったトリッシュは、東京を引き裂くゴジラのようだ。
トランズ・ニュークリアコーヒーショップに入ったレックスは、挽きたてのコーヒーの香りを吸い込んだが、疲れた筋肉は癒されなかった。冷たい金属製の椅子に沈み込むようにすわり、ガラスのテーブルの上に肘を置いた。「ソイラテをお願い、ダブルショットで」
トリッシュはバッグに手を突っ込んで財布を探した。「ああ疲れた」
「回復するまでに一週間はかかりそう」
「一週間もないわ、三日だけよ。だけど大丈夫、フランケンシュタインの花嫁のようにブサイクでも、キンムンはそのドレスに参るから」
「あなたって、本当に励ましの泉ね」
「努力してるの」トリッシュは肩越しに生意気そうな笑いを浮かべ、二人の飲み物を注文しようとカウンターへ急いだ。
レックスは、さっきピンが刺さった脇と腰をさすった。ピンがついたままの洋服を着たことなど一度もなかった。値札にあんな高額がついた衣服なら、ピンが取り除いてあってもいいようなものだが。それに、レックスのように繊細なバランス感覚の持ち主でも、あのスティレットヒールで一ミリ秒以上バランスを取るのは難しい。足首をひねるという名誉の負傷のために数百ドルか——。
それだけの価値がないと困る。レックスはモンスターを作り上げてしまったようだ。トリッシュにとっては、他人の財布を使って自分自身のために買い物ができれば、もっと良かったのだろうが——。
「はいどうぞ、レックス——」
「キャーッ!」
その悲鳴は、どこにいても誰のだか分かる。
ダブルショットのソイラテを床中にこぼしても、紙コップでは大して音が出ない。しかし、ミミの甲高い声は、ガラスが粉々に砕ける音のようだった。
「何で私のコーヒーをこぼす?」レックスは茶色いソイラテの湖を悲しい顔で見つめた。
トリッシュが気をつけていればよかったのだが——彼女の突き刺すような眼差しのために、ミミは石のようにこわばった。「ここで何してんの?」
「コーヒーを買いに来たに決まってるじゃない」ミミは長いポニーテールを不機嫌そうに揺らした。
「わざとぶつかってきたわね」
「そう見えただけよ。あなたが振り向いたから、私にぶつかったんでしょ」
「この嘘つきのチビ」
「それだけ? 喧嘩だったら受けて立つわよ、お姉さん」ミミが頭を横に振ると、ポニーテールがメトロノームのように早く動いた。
仲裁に入る時が来た。「このコーヒーショップでマッドレスリングでもするつもり?」
トリッシュは口を開いたが、レックスはその顔に手を押し付けた。「あなたは黙って」ミミの目と目の間に指を突き出した。「ラテ、もう一杯おごりね」
ミミの目が黒い炎のように光った。
「じゃなきゃ、トリッシュのやりたいようにさせるわ。そのポニーテールじゃ、不利よ」
キューピットの弓のような形をした唇からピンクの色が消え、ミミは急に向きを変えて、カウンターの方へ足を踏み鳴らして歩いていった。レックスはついて行った。
「ソイラテ、ダブルショット」ミミが飲み物を注文している間、レックスはカウンターに寄りかかって辺りを見回した。コーヒーショップの店員が、床を片付けようと出てきた。
あの男は、何故テーブルの下でかがんでいるのだろう? いや、何か落としたに違いない。窓際でインド人のカップルがしゃべっている。テーブルの方では、トリッシュが自分の指でスチームミルクを作れるぐらい熱くなっていた。
ミミの隣に立っていると、一六一センチのレックスは、カウンターにもたれていても巨人のような気がする。
ミミは喉元にあるティファニーのハートのペンダントを指でさわり——無数のボーイフレンドの一人がプレゼントしてくれたのだろう——そのネックレスのチェーンを前後に滑らせていた。「レックス、最近、エクササイズしてる?」
その言い方は少し無神経に聞こえた。そのお世辞たらたらの言い方の反面、本心は苛立っているような質問だった。レックスのラテのために四ドル支払うことは、大学生であるミミの予算に負担がかかるからだろうか。
「だって、ちょっといつもより大きくなったみたいだから」
二人はこのゲームを続けたいようだ。「あなた、まだ子供売り場で買い物してるの?」
おきまりの皮肉には、同じようにおきまりの答えが返ってくる。ミミの丸い鼻にしわが寄り、ほっぺたがふくらんだ。「ボーイズの売り場で買い物するよりましでしょ」
「私も洗濯板みたいだけど、チビのあなたほど気にならないから」
「曲がりなりにも私は——」
「あなたと話すのは本当に楽しいわ、ミミ——」レックスは、バリスタが受け取り用の棚に滑り込ませたラテをつかんだ。「——だけど、私たちの間には相互回避条項があったよね。ちゃんと守ったほうがいいわよ」レックスは重々しく歩き去った。
いや、重々しく歩いたというより、アスリートとしての品位をもって歩いた。それに、アジア系の男女混合バレーボールチームでは、レックスの身長は概して有利だった。ミミのために、また、あの子供じみた不安を感じることはない。
トリッシュは、モカ・フリーズを待っているミミへのレーザービームのような眼差しを、まだそらしていない——そして、モカ・フリーズを飲んでも、その少し曲線のある体のサイズは少しも変わらないのだ……
(やめ、やめ、やめ)「トリッシュ、どうしてあなたとミミは、シュガー・レイ・レナードとロベルト・デュランみたいなの?」
「はあ?」
またスポーツセンターの業界用語にはまっている。「気にしないで。水と油よ。あなたとミミは、水と油みたいだってこと」レックスの方がミミとウマが合うというわけではないが、レックスは、ミミが視界に入っただけでつかみかかりたい衝動に駆られることはない。
「あの子は性悪女なのよ」トリッシュは猫のようにシューッと音を立てた。
「あの子はあなたより年下なの。あなたが未熟なのよ」
「私はただ根に持ってるだけ。そこが違うの」
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