Thursday, October 21, 2021

ひとり寿司第6章パート2




「ひとり寿司」をブログに連載します!


ひとり寿司



寿司シリーズの第一作

キャミー・タング

西島美幸 訳

スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。

ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。

そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。

エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。

レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——

過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。

***


**********


 朝、レックスは勤務先であるハイテク製造会社のドアを開けた。ゴルゴンのような恐ろしい顔の女とインターンが怒鳴り合っている声が、耳に心地よく響く。

「あなたが散らかしたんだから、あなたが片付けるのよ!」事務員の怒鳴り声が、ロビーから廊下を通って部長のオフィスまで響いている。

「家族の集まりがあったんです!」新しく雇われたインターンのキャリーは、頭を横に振る理由がたくさんあるようだ。

レックスがガラスのドアを通って中に入る音も、その口論を止められない。

その中年の女性社員は、空調が利いたその場が凍るほど冷たくなりそうな目を、利口なインターンに向けた。「ソーダを缶ごとこぼしたのよ。せめてペーパータオルだけでも持ってくるべきでしょ!」

「誰かに押されたんです。私のせいじゃないわ!」

「関係ない! おとなしく責任を取れないんだったら、金曜午後の会社のパーティには来ないでくれる?」

キャリーのブルーとパープルのグリッターがついたアイメークが、蛍光色の天井照明でキラッと光った。「オバサンから会社のパーティに来るな、って言われる理由はないわ」

(その調子、ゴルゴンをコケにするといい。他の従業員が、一日中彼女と仕事がしづらくなる)

レックスはロビーの端を通り、自分のキュービクル(個人用に仕切られた仕事場)へと急いだ。独身者のたまり場をキャリーに勧めてもらうのは、今朝はやめておこう。午後だったら大丈夫だろうか。それに、あの事務員とまともな会話をするのは、今日は無理だろう。不動産屋は他の人に推薦してもらおう。

二人の同僚を通り過ぎた——ゴシップ・ツインのGTワンとGTツーと密かに呼んでいるのだが、部長のオフィスから一番離れたキュービクルで、いつものように肩を寄せ合って、ひそひそ話をしている。

「あの子、昨日呼ばれたって聞いた?」GTワンは、いつも自分の声は遠くに響かないと思っていたが、キュービクルを二つ離れた所にいるレックスには聞こえた。

「書類に印鑑を押すことで何か怒られたそうよ」自己満足で人を見下すようなGTツーの少し柔らかめの声も、しっかり聞こえている。

「サボって確認しなかったとか?」

「彼氏から電話がかかってきたせいで、気が散ったのよ」

ゴシップ・ツインは二人とも若く、社交的だった。ほんの一瞬、レックスはこの二人に男性と会える場所を聞こうかと思ったが……彼女たちがクスクス笑っている横を通り過ぎた。

自分のキュービクルに着くと、黄色いスティッキーパッド(貼る付箋)の上に走り書きされた大きい字が目に入った。「話があります~エベレット」

何だろう? CADの作業は昨日、終わっていた——予定より先に進んでいる、自分に感謝——それなのに、エベレットはどんな文句があるのだろうか?

「どうして新しい椅子が必要なんだろうか?」オフィスのドアにレックスが現れると、エベレットは何の挨拶もなく、こう言った。

「背中が悪いので、エルゴノミック・チェア(人間工学的に配慮された椅子)が必要なんです」(当たり前でしょ)

「君の椅子は問題ない。壊れてないんだろ?」ハゲ頭が光り、赤くなってきた。最高。癇癪が始まる前兆だ。

「後ろの調整ネジが外れてて——」

「だったら修理すればいいじゃないか。新しい椅子は必要ない」エベレットはそう言って、注文書を散らかったデスクの方へ投げたので、注文書は他の書類の海の中に消えてしまった。

「マークさんが私の椅子を見てくれたんですが、彼が言うには——」

「マークって一体誰だ?」エベレットが乱暴に頭を上げると、薄い髪がたなびいた。

「うちの修理部長です」

「ああ」エベレットは咳払いをした。「それで、彼は何て言った?」

「新しい椅子を買うようにと」

「じゃあ、どうして彼がホームデポ(大きなホームセンター)に行って、椅子を買ってこないんだ?」

「先週一緒に行ったんですが、合うのがありませんでした。デスクが高すぎて、私の足は短すぎるんです」

「だからって、二五○ドルの椅子が必要なのか?」

「これが一番安いエルゴノミックでした」

「特別なエルコ——エルゴック——ノミックチェアなんて必要ない」

「今の椅子は、腰が痛くなるんです」

「ナンセンスだ! それは、君がバレーボールをしてるからだろう」

もう切れた! 目の前に、梅干しのように赤いモヤがかかった。「この会社で働き始める前から何年もバレーボールをしてますけど、このデスクで、このコンピュータ用の椅子を使い始めるまで、背中の問題はなかったんですよ」

「傷害が遅れて現れただけだろう。答えは『ノー』だ」エベレットはどうにかしてデスクから注文書を見つけて——いや、見つからなかったのかもしれないが、それらしい紙を手に取り——くしゃくしゃに丸めた。

レックスは、「雪崩!」と叫んで、彼のデスクに積み上げられた書類をバサッと落としてやろうかと考えた。それともダンプカーのように、高級なレザーの椅子から彼を振り落とし、その椅子をもらって自分のキュービクルに戻ろうか。彼のコンピュータのケーブルを引き抜いて、彼が降参するまで身代金として取り上げるのもいい。

レックスは歯ぎしりし、向きを変えて拷問部屋を出た。

急いで通り過ぎていく人に、もう少しでぶつかるところだった。「ああ、ごめんなさい、アンナ……どうかした?」

アンナの赤くなった顔は、さらにくしゃくしゃになった。鼻もネオン色だ。

「またあのボス?」

「昨日はうまく行ってたの……笑って冗談を言ったりして。今朝は怒鳴られて、植木鉢を投げられた。私の仕事が手抜きだって」

レックスは目をぐるっと回し、アンナと一緒に廊下を歩いてキュービクルに戻った。彼女のボスのオフィスから遠ければ遠いほど、いい。

レックスは鼻をすするアンナに寄り添って歩いたが、彼女の肩に腕を回すのをためらった。男性よりも女性に触れる方が気まずくないけれど、体が触れるのは、まだダメだった。

アンナの腫れた目から涙が溢れた。「どうしてもあの人を理解できない。とても気分屋なの。話していても、いつ笑うのか、噛みつかれるのか、全然分からない」

「助けになって欲しいんだったら——」

「違う、仕事じゃないの。あの人と働くのが精神的な苦痛なのよ」アンナは号泣している。

レックスのデスクにはティッシュがなかったので、隣のキュービクルに手を伸ばして、そこからティッシュを引っ張った。アンナはそれを手の中でもみくちゃにし、顔をそっとたたいた。

彼女が落ち着くまで、レックスはそばにいた。アンナは鼻をかみ——音を立てて——ゴミ箱を探した。

レックスのゴミ箱はどこに行ったのだろう?

「あれ……」レックスは両側のキュービクルをのぞき込んだ。どちらの側にもゴミ箱がない。どうしたのだろうか?

アンナの手は、ティッシュの行き先を求めて動いている。

レックスは急にこみ上げてきた胆汁を飲み込み、手を差し出した。「私にちょうだい。ゴミ箱を見つけるから」かわいそうな子。頬はベタベタしているように見えたが、レックスは「体液恐怖症」をあからさまに顔に出して、今以上にアンナの気分を害することはできない。

アンナは足を引きずって出て行き、レックスはキュービクルの間をジグザグに進んでゴミ箱を探した。ゴミ箱を全部盗んだのは、一体誰?

「うっそー、やだー!」キャリーの金切り声が、銃弾スプレーのようにキュービクルの壁を貫通した。

キャリーは明らかに災難の渦中にあるようだ。これ以上、劇的なことに巻き込まれるのは避けたかったが、運悪く、キャリーのデスクはそれほど遠くなかった。デスクから飛び跳ね、手を鶏のようにバタバタさせ、口を大きく開けてさらに叫び声をあげ、ステアマスターでエクササイズ中であるかのように足を上下させていた。

ジェリーがキャリーの後に続いた。少しよろけ、顔色が悪い。「ごめん、キャリー……」

キャリーは彼を無視し、うめき声をあげながら、ピチピチのTシャツの上のベージュと薄紫の模様を、紫色のマニキュアを塗った指で払い落とそうとしている。

いや、模様ではない。肩を越えてキャリーの胸まではねているのは、嘔吐物だった。

ジェリーの。

「座ってたの! 自分のコンピュータの前で! ジェリーは立ってた! 私の後ろで! それで急にゲロったのよ!」キャリーはヒステリーを起こしていた。

レックスは片手で口を押さえた——汚れたティッシュを持っている手ではない。だが今となってはどちらでもいい。胃の中がかき回される気がしてきた。(息をしちゃダメ。見ちゃダメ)朝食べたシリアルが、今は、お腹の中に居たくないようだった。(いや、シリアルのことを考えちゃダメ!)早くトイレに行かなくては——

ジェリーは、不安定に傾いているキュービクルの壁にもたれた。「悪い、キャリー」長く、ゆっくりとしたため息をついた。「昨日の夜は、ビールを一、二杯飲んだだけ……」

突然、彼の目が大きくなった。エルマーズ・グルーで糊付けされたように鈍い顔をしている。彼は大きく緩んだ唇を押さえた。

そして、カーペットじゅうに解き放ったのだった。

キャリーの尋常ならぬ叫びに駆けつけた人たちが、一斉に「オエーッ!」という声をあげた。

レックスは声が出ない。息もほとんどできない。そして目がくらみ始めた……

ジェリーは咳をして、唾を吐いた。

レックスはトイレに猛ダッシュした。

***

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Tuesday, October 19, 2021

The Emperor's Lady-in-Waiting Is Wanted as a Bride by Kanata Satsuki

I have to confess, I’m a HUGE sucker for fantasy romance light novels. They’re fantasy novels that tend to not take themselves seriously (as opposed to more serious fantasy like Brandon Sanderson or Game of Thrones), and the romance is light, fluffy, and frothy (if it were possible for romance to be all three at once).

One such fantasy romance light novel series (which has been translated into English) is The Emperor’s Lady-in-Waiting Is Wanted as a Bride: Volume 1 by Kanata Satsuki. There’s only 2 books in the series so far, but I really enjoyed them a lot.

Here’s the back cover description for book 1 in the series:

Qatora was once a valiant knight of the Razanate Empire who gave her life to protect a young imperial noble. The tragedy cast her into the primordial Light of Origin, which not only revealed to her a dangerous secret... but also reincarnated her! She now lives as Lyse Winslette, the humble daughter of a poor baron in a neighboring country, who is doing everything in her power to keep her distance from the empire because of the forbidden knowledge she possesses.

Lyse thus works her days away at the royal palace of Olwen as a lady-in-waiting. And she’s rightfully mortified when she’s chosen to attend the visiting Razanate emperor. Little does she know that she’s about to learn another state secret that’s going to land her... an engagement to an imperial knight?! She’ll have to use all her skills—from this life and her last—to get out of this mess. Yet what is this strange feeling when she touches her fiancé’s hand? Just who is Sidis, and what secrets is HE keeping?

***

I loved the heroine in this series—she’s a former female knight, and while the culture of the country into which she is reincarnated frowns upon female knights, she goes against the norm and manages to be physically strong and protective. She has to put up with the disapproval of her family and the bullying of other ladies for her physical nature, but she handles it with aplomb.

The romance is very obvious—no love triangles—and in the first book, the romance was a little bit cheesy at some points, but on a whole very sweet. The romance was less cheesy in book 2.

The plot also moves forward in unexpected (for me) ways that kept me guessing what would happen next.

The humor in this series is a bit slapstick, but also very cute at times. In book 1, the emperor’s little secret is hilarious!

(I also have to tip my hat to her as an author, she’s incredibly prolific. Only 2 of her series have been translated from Japanese to English, so I looked on Bookwalker.jp for her other series and found she has a TON of them! The woman writes so fast and comes up with so many different series ideas!)

I really love how fun this series is so far and can’t wait for the next book. If you enjoy funny, light-hearted romance and fantasy (and don’t mind mild swear words), this might be up your alley.

Friday, October 15, 2021

Autumn Teas Gift Sampler @AdagioTeas #adagio #tea

I was very fortunate when Adagio Teas offered to send me a few samplers to try and blog about. The weather just turned cold when I got this Autumn Teas sampler! The box got a little crushed in the mail, though.



Here’s the description on the website:

Is there anything better than crisp air, big sweaters, and pumpkin spice everything? For lovers of all things Fall, we've put together a collection of teas to capture the essence of the season. This set includes:

autumn mist green - Gently smoky gunpowder combined with bright tangy apples and rose hips, bring to mind a misty morning stroll.
Blended With Gunpowder Tea, Apple Pieces, Cinnamon, Rose Hips, Natural Creme Brulee Flavor, Marigold Flowers & Rose Petals

bonfire - An Autumn medley of hazelnut, cocoa and exotic spices, with a soft note of apples and a hint of blazing hearth.
Blended With Honeybush Tea, Apple Pieces, Lapsang Souchong Tea, Aniseed, Cocoa Nibs, Cinnamon, Rose Hips, Cloves, Orange, Red Peppercorn, Safflower, Natural Cinnamon Flavor, Natural Hazelnut Flavor & Natural Orange Flavor

pumpkin spice - Pumpkin Spice goodness with rich, lively spices for a perfect autumn treat.
Blended With Black Tea, Cinnamon, Ginger, Cloves, Natural Pumpkin Spice Flavor, Cardamom & Marigold Flowers

honeybush pumpkin chai - Masala Chai spices in an herbal honeybush pumpkin base. Beautiful clear and bright cup, and crisp, tangy-sweet flavor.
Blended With Honeybush Tea, Cinnamon, Ginger, Cardamom, Cocoa Nibs, Safflower & Natural Pumpkin Spice Flavor

Camy: This was a very diverse sampler and would make a great gift! (The only exception would be if the recipient prefers unflavored green or black teas. In that case, they’d be more likely to enjoy a gift sampler like Teas of Japan or Oolong Teas of China.)

I’m going to review the teas in the order I tried them.

Pumpkin Spice

This delicious tea was full of spices and flavor! I admit I used a little more than a teaspoon for a 1-cup pot. I brewed it for 3 minutes at 212ºF.



I tried it plain, but I liked it much better with milk, which mellows the acidity and makes it have a softer mouthfeel, and a little sugar. It tasted a lot like a Pumpkin Spice Crème from Starb*cks, but I liked that I could make it less sweet.

Honey Bush Pumpkin Chai


I used a little more than a teaspoon for a 1-cup pot and brewed this for 10 min at 212ºF.



I could drink this unsweetened, but I preferred the flavor with sugar and milk. It was very similar to the pumpkin spice tea, but it had stronger cardamom and ginger flavors. The honey bush gave it a faint grassiness. I have to confess honey bush isn’t a favorite tea, but it’s not very prominent in this blend because of the other spices. Overall, this was a great noncaffeinated chai tea.

Bonfire


I used a little more than a teaspoon for a 1-cup pot and brewed this for 5 min at 212ºF.


I couldn’t drink this without sugar and milk. I just didn’t like the unsweetened flavor at all.


This tea wasn’t terrible, but I tasted mostly the hazelnut and orange flavors, and combined with the faint hint of anise, I thought that was a little odd. Not unpleasant, but unique.

There’s also a subtle smokey aroma that lingers, which is probably from the Lapsang Souchong Tea.

Overall, a very interesting tea, but not really to my taste.

Autumn Mist Green


This was my absolute favorite tea from the sampler box. There was a wonderful apple smell right when I opened the bag.


I used a little more than a teaspoon for a 1-cup pot and brewed this for 3 min at 180ºF. As it steeped, I could smell the green tea more.


When drunk plain, it had a very smooth flavor with a little tartness. However, I preferred it with sugar and milk, which brought out the harmony between the creme brulee and apple. There’s just the right amount of astringency from the green tea to make the flavor bright. I really loved this tea!

Have you tried any great autumn teas? Be sure to comment to let me know!

Keywords: Chai Tea/Masala Chai
Pumpkin Spice Tea/Fall Tea
loose leaf tea

Thursday, October 14, 2021

ひとり寿司第6章パート1




「ひとり寿司」をブログに連載します!


ひとり寿司



寿司シリーズの第一作

キャミー・タング

西島美幸 訳

スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。

ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。

そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。

エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。

レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——

過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。

***




「コンドミニアム探しに行かなきゃ」レックスはチャンキーモンキー・アイスを一口食べ、傷ついたオーク製のコーヒーテーブルに足を伸ばした。

トリッシュは、チェリーガルシア・アイスの隅から見上げた。「え、どうして?」

「計画変更よ」居間に置かれた、光沢のないオレンジ色とにごった茶色のソファの上に落ちてしまった一滴のアイスクリームをこすった。

「キンムンがあなたの最初の作戦だったの? 大した作戦じゃないわね」

レックスは、しばらく怒りがおさまらないだろうと思っていた。本当に、そんなに早く失恋から立ち直れるものだろうか?「幻を見てたんだと思う。それか、理想を追いかけてただけ」

トリッシュはまたアイスクリームにかぶりついた。「どうしてコンドミニアムなのよ? お金を貯めてるのは知ってたけど、プレイオフの遠征のためにそのお金が必要になるんじゃない?」

「まだ足りない、チーム全体ではね。それに、誰かスポンサーになってくれる人がいる、って信じてる。電話を折り返してくれさえすれば」レックスは、音が鳴らない電話をにらみつけた。

「大金だもんね」トリッシュはさくらんぼを引っ張って出した。

「ボーイフレンド探しも続けなきゃ」

「ボーイフレンドは要らないって。誰でもいいから、マリコの結婚式に連れて来ればいいわ」

「おばあちゃんの期待は、一回限りのデート相手じゃなくて、ボーイフレンド。あの人は、恋人同士のようなそぶりをするかどうかを調べるの」レックスは、たるんだソファのスプリングの上でお尻をずらした。

「誰を連れてったって、おばあちゃんはその彼のことで何か文句を言うに決まってる。でしょ?」

「どういう意味? 私が恋愛してるってだけで興奮するわ。きっとその彼を好きになる」

「賭ける? マリコの時と同じよ。背が低い、背が高い、痩せ過ぎ、太り過ぎ、日本人じゃない、中国人じゃない、ってね。マリコはいつもやり込まれてた」

「まあ、マリコの場合は可哀想なぐらいどうしようもないデート相手だったもんね」

「おばあちゃんが一つも文句を言わなかったから、あの、なんとかって人と結婚するだけだと思うわ」

「私の彼氏のことをおばあちゃんがどう思うかなんて、大体どうして気にするの? おやすみのキスをするのは、おばあちゃんじゃないんだから」喉が詰まった。アイスクリームを飲み込むことができない。

トリッシュが、さっと用心深そうな目を向けた。「あなた、大丈夫なの——?」

「大丈夫」レックスは口についたアイスクリームを拭いた。

二人はしばらく黙って食べていたが、レックスは苛立って、コーヒーテーブルを蹴った。

「おばあちゃんが考えてることが、どうしてこんなに気になるのかな? 私たちってほんと、どうしようもないわ」

トリッシュはまだ食べている。「恐怖に洗脳されてるのよ」

「そうそう、自分が正しいって分かってるのに、反対できない。私たちって、どうしてこんなに臆病なのかな」レックスはもう一口、口に入れた。「あの人は四一キロしかないのよ。私たちだったらやっつけられるわ」

トリッシュはレックスの冗談を無視した。「四一キロより重いわよ」

「どういう意味? だってあの人は——」

「違う、本当に四一キロより重いの」

「ああ、そうか」レックスはアイスクリームを置き、鳴りそうで鳴らない電話を見つめた。「大丈夫、四ヶ月あるわ。いい人がきっと見つかるはず」

「結婚式の後でその彼を捨てたって、その頃までには新しいスポンサーが見つかるわよ、きっと」トリッシュはレックスの前でスプーンを揺らした。「どうしてそんなにイライラしてるの? バレーボールの知り合いか誰かにしとけばいいじゃない」

「分からない」レックスは腕を組み、ソファで丸くなった。「こういうことを強要されるのは大嫌いなの」

トリッシュは食べている途中で止まった。「まだ心の準備ができてないとか?」

「もちろん、できてるわ。カラスみたいに突っつかれるのが嫌なだけ。どうせだったら、自分のやり方でやるわ」

「どこが違うのよ。どっちにしろ、おばちゃんの要求通りになるのよ」

「私の人生をコントロールするのは私、おばあちゃんじゃない。マリコみたいに、トミオとかダイキとかハルオとか、日本人男性だったら誰でもいいからデートするなんてことはしない。デートをする心構えはできてるけど、私はバカじゃないの。私と出かける男性は、私の基準に合格しなきゃ」

「基準って、どうするつもり? 競走馬みたいに歯を見せてください、って頼むの? それか、財布の中身? ちょっとシャツを上げてくださいとか? 頭の後ろがハゲてませんかとか? それで、検査に合格しましたって?」

「バカ」レックスはトリッシュに枕を投げた。「違うわ。今ね、女性の聖書勉強会で、『エペソ人への手紙』を読んでるの。信仰のある男性の特徴がたくさんあって、私も自分のリストを作ってるのよ」

トリッシュは声を上げて笑った。「リスト? 『エペソ』のリスト? 千メートルぐらい長いリストなんでしょうね」

「違う、六つだけよ」

「六つだけ? 分かった。心拍数? 合格。字が読める? 合格。私が歩いている地面を拝む——」

「やめて、いいリストなのよ」指の上にチェックマークをつけた。「一つめ、バレーボールがとても、本当にとても上手じゃなきゃいけない」

「そんな人、たくさんいるじゃない。それが「『エペソ』に?」

「だって、私はその人に『服従』しなきゃいけないのよ——知ってる?『妻たちよ。主に従うように、自分の夫に従いなさい』って——バレーボールで私に勝てない人には服従しないわ。二つめ、身体的な魅力があること。完全な『一致』っていう問題よ。その人と実際に『一つ』になりたい、って思えなきゃいけないの」

トリッシュは思わず噴き出した。

「ちょっと、汚いじゃない! アイスクリームがいっぱい飛んでるわ」

「ごめん」トリッシュは口を覆った。

「三つめ、クリスチャンであること」

「それが三つめ? 優先度はあまり高くないのね、ふーん」トリッシュは、レックスのあばら骨のあたりをつついた。

「あの……別に優先度の順じゃないんだけどね。四つめ、安定した、いい仕事を持ってること」

「金持ちじゃなきゃダメだって、使徒のパウロさんはどこで言ってたっけ?」

「お金持ちってことじゃないの。だけど、「『エペソ人への手紙』では、男性は自分の体を大事にするのと同じぐらい妻を愛するべきだ、って書いてあるでしょ。ってことは、私のボーイフレンド——つまり将来の夫——は、私を養うのに十分なお金を持っているべきでしょ? 五つめ、誠実であること。浮気や不倫なんていうのは、絶対ダメ」

「それも「『エペソ』? 私ももっと聖書を読まなきゃ」

「六つめ、私に嘘をつかないこと。『あなた方は偽りを捨て、それぞれ隣人に対して真実を語りなさい』って書いてあるでしょ?」

「彼が嘘をついてるかどうか、どうすれば分かるの?」

「うーん」レックスは足をコーヒーテーブルから下ろした。

「そうだよね、嘘をつかないことを願うわ。どちらにしても、私を操ろうとしたり、騙そうとするのはダメ。それで、どう思う?」

トリッシュは肩をすくめた。「いいんじゃない、実行可能だと思うわよ」

「慎重になりたいだけなの、分かるでしょ?」

「もちろん、分かる」トリッシュは空になった容器を置いた。「じゃあ、コンドミニアム探しはどうなるの?」

「考えてみて。家っていうのは独立宣言みたいなものよ。だけど家族にとっては、公然とおばあちゃんに逆らうのは独立とは言えない。投資だと考えられるから、受け入れてもらえる独立なのよ」

「あーあ、なるほどね」

「宣言しなくちゃ。たとえボーイフレンドと一緒にマリコの結婚式に行ったとしても、完全に言いなりになってるわけじゃないことを、おばあちゃんに分からせないと」

「おばあちゃんはモンスターじゃないんだけどね」

「あなたはいいわよ。大事なことについて、おばあちゃんから脅されたことがないんだから」

「実際、この前の夜も親切だったしね」

「ええっ? 何のこと?」

「新しいボーイフレンドを紹介したのよ」

「で、今週の流行りは?」

「うるさい」トリッシュは舌をペロッと出して、新しい男の子のことを話すときによくするように、クスッと笑った。「先週ね、佐古寿司でランチをした時に会ったの。ウェイターなのよ。新しいお箸を持ってきてくれてさ」トリッシュは頬にえくぼを作った。「そんで、おばあちゃんには日本語で話すの」

「すごい!」トリッシュにハイタッチをした。「おばちゃんが気に入るはずね」

「言っとくけど、おばあちゃんには気に入られた方が便利よ。ボーイフレンドを見つけなさい」

「そうね、明日から会社で行動開始よ。同僚が、誰か知ってるかもしれないし」

***

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Tuesday, October 12, 2021

SAVE THE DATE releases today!

I’m happy to announce that my first Contemporary Romance story in 5 years releases today! The Wedding Kimono is one of TWELVE novellas in this massive Christian Contemporary Romance collection.

Here’s the back cover description:

Weddings for every season and occasion. Adventures, mishaps, and dream destinations—this collection has it all!

As our guest of honor, you’re cordially invited on a journey through twelve heartwarming and inspirational novellas that will take you from small-town America to romantic Paris, from the sunny shores of Hawaii to New Zealand. Office romances, friends-to-lovers, second chances, and more await you in these stories full of forgiveness, redemption, laughter, and love.

Say “I do” and claim your copy of this limited-time anthology by your favorite USA Today and bestselling Christian romance authors!

January Hope by Kari Trumbo
Clothing historian Cleo goes on the hunt for an 1880s fashion magazine wedding dress. Discovering it's part of a museum collection, her biggest obstacle is handsome curator Lowel. Unfortunately, his no-touch policy just might put a stop to her hunt and her heart.

A Valentine for Veronica by Lisa Prysock
Veronica purchased her dream wedding dress though she's single. When an encounter with a former peer—now a wedding magazine photojournalist—entices her into doing a special feature, the pressure is on to find a husband. Will Veronica's pride be her downfall, or will her faith lead to love?

I Take You by Marion Ueckermann
Since childhood, Kaia has dreamed about her fairy-tale wedding. But when her father's choices crush Kaia's dreams, her fiancé is left scrambling for a solution to their dilemma. Kaia doesn't want to delay their wedding, and neither does Leo. He's waited a lifetime to make Kaia his wife.

Adoring April by Chautona Havig
Whoever heard of a church expecting an incoming minister to marry their only single member as a condition for employment? Legality aside, what kind of woman would possibly agree to such a crazy idea? What'll it take for Jesse to go from avoiding April to adoring April?

A Change of a Dress by Hallee Bridgeman
Belle struggles to bury the past and grasp her elusive future. Scarred by an incredible act of heroism, combat veteran Vince longs to courageously walk the road less traveled as an army chaplain. The two unknowingly cross paths time and again until meeting changes everything.

Time for Me by Jan Thompson
When Sheryl tries to get a world-famous sculptor to display his artwork in her gallery, she doesn’t expect him to fall in love with her in this friends-to-more romance.

The Wedding Dress by T. K. Chapin
Alexa Anderson doesn't want to wear her mother's wedding dress when it's time to marry the love of her life, Brad Jackson. Little does she know, the wedding dress has a story of its own to tell...

The Wedding Kimono by Camy Tang
A tomboy massage therapist and her boss discover a mysterious message hidden in her grandmother's wedding kimono. Can her family legacy help her to see her inner beauty and open herself up to love?

One Vow for September by Liwen Ho
She's a writer with an unconventional assignment, he's the jaded coworker playing her husband; together they're one odd couple about to find out how real love is.

Braver with You by Jaycee Weaver
She'd follow her childhood sweetheart anywhere, but first they'll need all her courage and all his support to make it through the wedding their mothers have planned.

Grateful for You by Dori Harrell
Jeans-only Libby hasn't spoken to lawman Jamie since she turned down his proposal. But when she sees a frothy gown in a store window, she knows he's the guy for her. But winning him back might mean landing herself in jail.

Countdown to Her Cowboy's Christmas Wedding by Shoshanna Gabriel
A handsome rancher. The girl next door. A childhood promise comes due that could change their lives... for better or worse. When their Christmas wedding preparations bring out painful memories of heartbreak, will Kate be able to forgive Jay—and herself—so they can finally be together?

Camy: Our anthology went through a lot of bumps in the road. We were all shocked and saddened when two of our authors (Marion Ueckermann and Shoshanna Gabriel) suddenly passed away. Several of us have had health issues (me included) and the husband of one of the authors had to have major surgery. All this caused us to move the release date further out by a month.

But God is good, and the release is today! The price is only 99 cents for the ebook (about 800 pages!), and we’ll keep the price there for about a week.

I hope you enjoy Save the Date!

Thursday, October 07, 2021

ひとり寿司第5章パート2




「ひとり寿司」をブログに連載します!


ひとり寿司



寿司シリーズの第一作

キャミー・タング

西島美幸 訳

スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。

ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。

そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。

エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。

レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——

過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。

***


**********


「だけど、ミミの言うことも、もっともだわ」

 レックスは、トリッシュのシャツをゴシゴシこすった。「あの子が一回ぐらい知的な考え方をしたからって、どうでもいいんだけどね」

「ちょっと、お願いだからもっと優しくしてくれない? これ、いくらだったと思うのよ」

「そんなこと私が気にすると思う?」

「私じゃなくて、ミミを狙えばよかったじゃない」

「ごめんね、今度、三秒以内に嘘をつかれたり、捨てられたり、ショックを受けることがあったら、もっと都合のいい方向にコーヒーを噴き出すわ」

「でも、あの子の言うことは正しかったわ」

レックスは、トリッシュが怒りを爆発させていないことを確認しようと目を上げた。「何それ。ミミを褒めるなんて、信じられない」

「ミミへのお世辞じゃなくて、あなたを侮辱してるだけよ」

「ああ、それの方がずっといいわね」

「考えてみてよ。あなたとキンムンはずっと友達だったの。ミミがさっき言った通りよ——あなたたち二人の間に何かあったとしたら、もっと早くそうなってるはずだと思わない?」

「言ったでしょ、キンムンは私のことをそんな風に見たことがなかっただけで——」

「何寝ぼけたこと言ってるの? ミミはキンムンをデートに誘う権利があるのよ。あなたが突然、彼にアタックし始めたことを、あの子が知る訳ないわ」

「そんな意味深な言葉があなたの口から出るとはね。ミミにボーイフレンドを取られた、って文句を言ってたばかりじゃない」

「違う、それとこれとは違うわ。あの子達は私が鎖でつないでた——っていうか私のものだったの……ミミはそれを知ってたのよ」

「キンムンが私のものだ、ってことも知ってたわ。おばあちゃんの最終通告のこともね。私が誰か相手を探してることを、あの子は知ってたの」

「あなたと違って、ミミは男の子とただの友達にはなれないのね。大好きになるか、捨てるかのどっちかなのよ。あなたとキンムンは恋人じゃなかったから、これからも恋人にはならない、って思ったのね」

レックスは、しわくちゃにしたペーパータオルをゴミ箱に投げた。「何であの子の味方をする? 傷ついてるのはこっちなのよ」

「あなたがバカなだけ。キンムンのことになると、私の言うことを聞かないじゃない」

「彼が私とのデートに興味がないって、どうして分かるの? 私には何も悪いところはないわ」

タイル張りのトイレの中で、沈黙が大きくこだました。

「ねえ、あなた」トリッシュは優しく甘い声で言った。「あなたに悪いところは何もない。キンムンがあなたに合わないだけ」

「私に悪いところはないわ、トリッシュ。今の自分に満足してる。誰かのために変わる必要なんて、もちろんないわ」

「違ったように見せる必要もない」

「そう、全然ない」

「今の私で十分」

「だけど、もっと合った人を目標にするべきね」

レックスは、トリッシュのひまわり柄のシルク製シャツについたモカのしみを見た。「ドライクリーニング代は私が払うわ」

「無理よ、取れないわ。あなたが今日、買ったピンクのシャツが欲しいな。もう要らないでしょ?」

「そんなに私の心臓を切り裂きたいの? 大包丁で」

「お願い! あなたのことは分かり過ぎるほど分かってる。一時間もすれば、そのかわいそうな私、っていうセリフから立ち直れるわ。そうしたら、どうなると思う?」

「言ってよ」

「キンムンに死ぬほど腹を立てるわ」

「死ぬほど腹を立てる? 何それ——彼の家に車をぶつけるってこと?」

「違う、カンカンになり過ぎて、あのピンクのブラウスを着てキンムンとデートすることは絶対しないってこと。彼に土下座で頼み込まれたとしてもね」トリッシュは、芸者のように世間をよく知った風な言い方をして笑った。「あの汚らわしいピンクの服が、あなたの手を離れて見えなくなるようにしてあげる」

「考えとく」

「考え過ぎないでね。デートは明日の夜だから」

***

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