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ひとり寿司第21章パート2




「ひとり寿司」をブログに連載します!


ひとり寿司



寿司シリーズの第一作

キャミー・タング

西島美幸 訳

スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。

ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。

そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。

エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。

レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——

過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。

***


**********


三人のいとこと一緒にお祝いをする場所は、ホットポットタウン・レストラン以外に考えられない。

ただし、そのうちの一人が、兄弟でもなく、いとこでもなく、ましてや親しい知り合いを連れてきたら、話は別だ。

ジェニファーがミスター・ゲッコウ——青白く、目の下がたるみ、常に唇を舐めている——と一緒に駐車場からレストランの方に近づいてくるのを見て、ビーナスがレックスをつっ突いた。「誰? あの人」

「彼氏かな?」

「ジェニファーも、彼のことが耐えられないように見えるわ」トリッシュは二人をじっと見た。「見て、ジェニファーが彼から離れるたびに、彼は近づいてる」電話が鳴った。「あ、和夫だ。ヘイ、ベイブ……」数メートル離れた。

ビーナスがレックスの方に傾いてきた。「ねえ、トリッシュに聞いた? 教会であなたから逃げた理由」

「私が呼んでるのが聞こえなかったって」

ビーナスは、(私がそんなにバカだと思う?)と言っているような表情を向けた。

「そうよね、私も信じていいのか、分からないわ」レックスは頭を横に振った。

「あの彼は、凶報だわ」

「だったら、あなたから話してみてよ。私と二人だけになるの、避けてるみたいだし」

「分かった」ビーナスは行きたくてウズウズしていた。

「そうだ、言うの忘れてた。住むとこ、見つかったんだ。教会の女の人に電話したの。その人の姪がね、自分のタウンハウスの空いてる部屋を貸したいんだって。ベッドルームは二階で、裏にカーポートがあるみたい。明日、見に行ってみるわ」

「よかったじゃない」

「やっと上向きになってきたかも」

ジェニファーが来た。「や、ヤッホー」

ゲッコウはビーナスの方にすり寄ってきて、用心深く見下ろそうとしている。ビーナスは一歩下がり、あのとびきりの、臓器を縮み上がらせるようなにらみを放った。彼は目が飛び出て、チワワのようにジェニファーの近くに小走りで動いた。

「ジェン、あなたの友達って?」ビーナスは一向に気にしないだろうが、レックスは彼のことを一晩中ゲッコウと呼びたくはなかった。

「ええと……ヘクターよ」

「素敵」ビーナスはせせら笑いを浮かべた。

「二人はどうやって知り合ったの?」レックスは、涼しい笑顔を見せた。

「実は……さっき会ったばかりなの」

レックスはジェニファーに向かって眉毛を上げた。

「あのね、レックス、あなたから電話があった時、おばあちゃんがうちにいたの」

(やっぱりそうか)

「それで、ヘクターも一緒に、って頼まれたの」ジェニファーはレストランのドアを絶望した目で見た。「いい?」

ヘクターがビーナスの後ろ側をジロジロ見ながら、彼女を追ってレストランに入る傍ら、レックスはジェニファーを引き止めて、彼女の腕に爪を立てた。(気味の悪い男)「ジェン、どういうこと? どうしておばあちゃんの言うことに反抗できないの?」

「じゃあさ、あなたから断ってよ」

「何で私と出かける、って言ったのよ? あの人が何を考えてるか、分かるでしょ」

「おばあちゃん、最近よくうちに来るのよ。ほんと、疲れる」ジェニファーはレックスの腕をほどき、レストランに入っていった。

レックスは一瞬、立ちすくんだ。驚きのために動けない。ジェニファーがそうやってピシャッと言うことなど、一度もなかったからだ。

身振りでトリッシュを促すと、彼女は一人で中に入った。

「レックス! 待て!」

振り向いた。「リチャード、何やってるの? ここで」もう一人、男性の友人もいる?

リチャードは急いで近づいてきた。日焼けした男がゆっくりついてくる。「ばあさんが、ここにいるって言うから」

レックスは叫びたい衝動と戦った。

リチャードはそれを無視して、友達の方に合図した。「友達のオリバー」

「はじめまして、こんにちは」オリバーがリチャードの友達であるはずはない。彼の友達は、みんな調子がよく、人を惹きつける魅力があったが、オリバーはどちらかと言うと、マナーはまあまあで、アジア系クラーク・ケントのようだった。「じゃあまた、リチャード」

「ちょっと待って、どこに行くんだよ?」

「ディナーだけど」

「分かってるよ。僕たちも一緒に行く」

レックスは声を低くした。「あなたを誘った覚えはない」

レストランのドアに向かってレックスの横をさっと通り過ぎながら、リチャードはレックスのあごの下をなでた。「俺はお前の兄貴。呼ばれなくてもいいんだよ」

レックスは彼らの後をついて飛び込んだ。

ホットポットタウンは、レストランというより倉庫のように見えた。テーブルは隙間がないほど寄せ集められ、ビュッフェカウンター近くのカフェスタイルのテーブルをやっと見つけた。ウェイターは、チキンブロス(だし)入りの鍋——ホットポット——が乗った卓上コンロに火をつけ、飲み物の注文を取った。

レックスは、冷蔵の生肉の方へ歩いて行き、鶏肉と牛肉を選んだ。とても薄くスライスされていて、白いお皿が見えそうなほど透けている。各自、自分が選んだものを、テーブルに置かれたブロスに入れる。シーフードのマリネにたどり着いた時、ゲッコウが後ろをついてきているのに気がついた。

「君がレックス?」

「そうだけど」

そのぶっきらぼうな口調の意味を理解しなかったようだ。「僕、ヘクター」

「知ってるわ」(それから、あなたのことは何も知りたくないから)うーん、帆立かエビか、どっちにしよう? 一杯ずつ取った。

ゲッコウが肩越しにさまよっている。プライベートなスペースに侵入されたので、離れた。

***

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