Skip to main content

ひとり寿司第18章パート4




「ひとり寿司」をブログに連載します!


ひとり寿司



寿司シリーズの第一作

キャミー・タング

西島美幸 訳

スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。

ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。

そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。

エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。

レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——

過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。

***


**********


レックスは、お金が必要だった。

彼女にとってこんなに大事なことが、始まる前に終わってしまうかもしれないなんて、なんという皮肉だろう。

ワサマタユの年会費は数千ドル——ペアで働いている時だったら心配しなくてよかったのに。貯蓄を崩して、うちで節約しながら生活しているうちに、給料のいいエンジニアの仕事に戻ることができるだろうか。

さて、トライアウトの前に、五千ドルの前金を支払わなくてはならなかった。入れなかった時には返金されるそうだ。

レックスは、そこをもう一度読み直した。自分は選ばれるはずだ。これだけ激しいトレーニングをしてきたんだから。

しかし、お金のことが心配だった。家賃を払わないで父の家に住むのではなく、コンドミニアムを借りる必要がある上、SPZの仕事はペアの時より給料が安い。女子チームのプレイオフ費用のために、代替案として——十分とは言えないが——自分の貯蓄を使うことも考えていた。

エイデンがレックスの隣に座って靴を脱いでいた。二人の携帯が同時に鳴り始めた。

レックスは番号をろくに見もしないで電話を切り、床に投げた。その晩の不在着信は六件。祖母は、年頃の息子を持つ友達が何人いるのだろうか? ため息をついて目を上げた。

(もう、最悪。何でこんなにしつこいの?)

長身の痩せた男の方が残っていた。後の二人は出て行ったようだ。レックスはうめき声を上げて、頭を垂れた。脈打つ頭痛が目玉の真後ろで始まった。

「それで、レックス」ミスター忍耐が腰を曲げ、彼女にまとわりついている。「チケットの話をしようよ」

「したくないわ」自己紹介すらしない、横柄なヤツだ。

彼女は不機嫌なのに、彼は笑った。「頼むよ——僕の母親と君のおばあさんっていうお互いの問題は、簡単に解決できるんだよ」

考えが浮かんだ。レックスは、その後すぐに感じた罪悪感を押しのけた。「どうするっていうの?」

ミスター忍耐は瞬きした。「あのさ……僕、検眼医なんだ」財布の中から名刺を取り出して、彼女に渡した。

この人は支払い能力がある。そして、彼女はお金が必要。彼は、週末のバークレーの試合のために五千ドル払うつもりはないかもしれないが、他にもチケットを手に入れるためにお金を出すのをいとわない友達がいるはずだ……

ノー、ノー、ノー。そんなことを考えた自分が信じられなかった。若干違法であることはさておき、誠実にチケットをくれた同窓会を裏切ることはできない。

ミスター忍耐は、兄のリチャードと同じような厚かましい態度で笑った。

「ダメよ」彼女は、彼に名刺を押し返した。「ダメ」

 彼の笑顔が大きくなった。「レックス——」

「ダメ」

「もう、頼むよ——」

「ダメだ、って言ってるよ」エイデンの鋭い声が割って入った。レックスは、彼が隣に座っていることをすっかり忘れていた。明らかに携帯での会話が終わり、ミスター忍耐の話を聞いていたのだ。

彼はムッとした顔をエイデンに向けてから、悔しそうな目でレックスを見た。「名刺、持っててよ。気が変わったら——」

「変わらないわ」彼に背を向けて、靴を脱ぎ始めた。レックスは、誰も見ていなかった。もちろんエイデンも。

二つめの靴を脱ぎ終わるまで待った。「行った?」

「うん」エイデンは、スニーカーを探して鞄の中を探った。

レックスはモゾモゾと靴下に指先を入れながら、足を見つめた。とうとう目を上げて、エイデンを見た。「サンキュー」

彼の眼差しが彼女に留まった。優しいが、探るような表情ではなかった。「お安い御用」

胸の上に温かみが残った。エイデンが何も言わずにそこにいることが……気に入った。特に、事実上全ての男がレックスからチケットを欲しがる時には。

彼は違った。

レックスは、放り投げた携帯の方を見た。

鳴っていた。

***

電子書籍
アメリカKindle
日本Kindle
Apple Books
Kobo/Rakuten
Google Play
印刷本
アメリカAmazon
日本Amazon

キャミーのニュースレター

* が必要です。

私のEメールニュースレターにサインアップしてください。私からのウェルカムメールが数通届き、その後は月に1通程度のメールが届くことになります。申し訳ありませんが、時々ニュースレターが日本語になりません。私からのメールのフッターにある配信停止のリンクをクリックするか、camy@camytang.com。いつでも変更することができます。

“配信を確認してください。” のメールを送ります。 メッセージの中にある確認リンクをクリックして、あなた本人であるかどうかを確かめて下さい。大変申し訳ありませんが、“配信の確認をしてください。” のメールは英語になります。

個人情報保護方針: 私はあなたの個人情報を尊重しています。Eメールアドレスを含めた個人情報は、第三者に開示・提供しません。

当社では、マーケティングプラットフォームとしてMailchimpを使用しています。以下をクリックして購読することで、お客様の情報が処理のためにMailchimpに転送されることをご了承ください。Mailchimpのプライバシーポリシーについてはこちらをご覧ください。

Comments

Popular Posts

No Cold Bums toilet seat cover

Captain's Log, Stardate 08.22.2008 I actually wrote out my pattern! I was getting a lot of hits on my infamous toilet seat cover , and I wanted to make a new one with “improvements,” so I paid attention and wrote things down as I made the new one. This was originally based off the Potty Mouth toilet cover , but I altered it to fit over the seat instead of the lid. Yarn: any worsted weight yarn, about 120 yards (this is a really tight number, I used exactly 118 yards. My suggestion is to make sure you have about 130 yards.) I suggest using acrylic yarn because you’re going to be washing this often. Needle: I used US 8, but you can use whatever needle size is recommended by the yarn you’re using. Gauge: Not that important. Mine was 4 sts/1 inch in garter stitch. 6 buttons (I used some leftover shell buttons I had in my stash) tapestry needle Crochet hook (optional) Cover: Using a provisional cast on, cast on 12 stitches. Work in garter st until liner measures

Ghetto Gongfu @mastersteas #mastersteas

Last year, I really got into brewing oolong teas, black teas, and Chinese green teas gongfu style. It’s a method where you use a little more tea leaves but steep for a very short time (usually only 15-25 seconds), and then each steeping after that is a few seconds longer. When doing such a short steep, the tea is not bitter at all. I like how each steeping of tea tastes just a little different, because the tea leaves will release certain compounds first and other compounds later. Also, you can usually steep it anywhere from 5 to 9 times, depending on the tea. You can use a tiny gaiwan teacup to brew tea just for yourself, or you can use a teapot. There are some teapots made specifically for gongfu brewing, although they tend to be very small, ranging from 200 mL to 300 mL (although there are some that are larger and smaller, of course). There are a few teas at MastersTeas.com that I really love, but which are very expensive since they’re very high quality. However, some of them

Regency titles in Lady Wynwood's Spies

I happened to read a review of Lady Wynwood’s Spies, volume 1: Archer , and the reader mentioned being confused because characters switched between using first names and last names. I didn’t comment on the review (it’s my policy never to do so), but I thought it might be useful for my readers for me to mention why I have some characters referring to certain others by their first names or last names or titles. When I was researching British titles, many published historical authors recommended this article , which is one of a series of very informative articles on how the British refer to those with titles. The article writer mentions that especially in the Georgian/Regency/Victorian time period in England, people did not refer to each other by their first names unless they were childhood friends or close family, and even close family would often refer to a peer by his title name (or a nickname of his title name) rather than his first name (i.e., “Hart” for Lord Hartley). It struc