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「ひとり寿司」をブログに連載します!
ひとり寿司
寿司シリーズの第一作
キャミー・タング
西島美幸 訳
スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。
ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。
そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。
エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。
レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——
過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。
「特製の香港スタイルヌードルをお願いします」
「私も同じものを」
ウエイトレスは広東語で叫びながら、戸口を通ってキッチンまで忙しそうに行ってしまった。
ジェニファーはジャスミン茶をすすった。「最近どう?」
「別に、どうして?」レックスはお茶を冷まそうと息を吹きかけた。
「だって……」ジェニファーは、長い髪をクルクルといじっている。「いつもは自分からユニオンでランチしよう、なんて言わないじゃない」
「どういう意味よ? 中華、美味しいじゃない」レックスはテーブルを覆う透明のガラスをこすった。
「トレーニング中じゃないときだったら、そうかもね」
「何で私がトレーニング中だって分かったの?」
ジェニファーの目は、警戒心から大きくなった。「私は知らない方がよかったの? ごめん、リチャードから聞いたの——」
「落ち着いて、ジェン。別に秘密でも何でもないんだから」
「そうか」ジェニファーの肩は沈み、いつもの猫背に戻った。
彼女の姿勢のことでうるさく言う気分ではない。レックスは、オイルに入ったスパイシーな胡椒の、小さい調味料用キャニスターについているスプーンで遊び始めた。
「それで……仕事はうまくいってる?」ジェニファーは唇を噛んだ。「何かよくないことはない……?」
かわいそうなジェニファー。この娘は、レックスには全くない気配り、というものがありすぎる。「何で? 私、そんなにストレスがたまってるように見える?」
「そんなことないけど……たださ……あなたがハードなトレーニングをやってる時って、デニース・オースティンより食べっぷりがいいから」
レックスは笑い、気分が楽になった。「デニース・オースティンだったら、香港スタイルのヌードルは食べないの?」
ジェニファーは可愛い笑顔をのぞかせた。「ヘルシーな食べ物じゃない、って言おうとしてる?」
「揚げ中華麺の上に塩とソースがいっぱいかかってるもんね」ただ、脂肪が血管を凝固させ、お尻に堆積しているように感じさせようとして言ってるだけだ。
構うものか——レックスは外出中で、グレイや、他のバカ者たちを相手にする必要はないのだから。「ちょっと落ち込んでたけど、あなたが電話をくれたから、良くなったわ。しばらく一緒にランチしてないし」
レックスは不満を解放させた。塩とソースが一杯かかった揚げ中華麺を食べている途中も、彼女は話し続けた。
「だってさ、ジェン。彼の頭に仕切りが倒れたのよ。それなのに彼は顔を歪めもしない」
「それに、あごを殴られたそのかわいそうな人」ジェニファーはブロッコリーを一口噛んだ。
「そうそう、みんな『大丈夫?』だって。痛いとか言いもしない」レックスはクリスピー・ヌードルをむしゃむしゃ食べた。「全てチケットのためだったのよ」
ジェニファーは答えなかった。
レックスは彼女をチラッと見た。
ジェニファーは顔をしかめた。「だけど……」
レックスはため息をついた。「違うかしら」
ジェニファーは肩をすくめ、食べ続けた。
「職場でボーイフレンドを探そうか、って思った。おばあちゃんの最終通告、覚えてる? だけど今は、クールな人とクリープ(気味の悪い人)の見分けもつかないわ」
「難しいよね」
「強制的に誰かと付き合わされるのだけは、嫌。おばあちゃんは、どうしてそこまで曽孫にこだわるのかしら」
ジェニファーは、はしでチャーシューをつかんだまま止まった。そのまん丸い茶色の目がレックスの目と同じ高さになった。
「知らないの?」
「どういう意味?」
「レックス、私たちの親とその親にとってはね、子供っていうものは不死を意味するのよ」
レックスは、突然冷たい水が入ったバケツに沈められたように感じた。お尻の右側をかばう祖母が、とても老けて疲れているように見えた、あの瞬間。老化を感じている祖母は、自分の遺産を増やそうと頑張っているのだろうか? 自分の命をさらに伸ばそうとでも?
「それに……噂話じゃないといいんだけど……」
レックスは待った。ジェニファーはそのうち全てを吐き出すだろう。
「おばあちゃんがママに言ってるのを聞いたの。お友達の松本さんに会うのをやめたんだって」
松本さんは、レックスといとこたちの子守をしてくれた人だ。クリスチャンでもあり、そのことをよく口にしていた。「おばあちゃんと松本さんはよくぶつかるの。似たもの同士なのよ——二人とも自分を主張しすぎる」
「違うの、今回は深刻みたい。松本さんが、おばあちゃんに何て言ったのか知らないけど、もう絶対に話さないって」ジェニファーは、クリスピーヌードルを箸で突き刺した。「だから、私たちがおばあちゃんの標的になったんだと思う。あなたを含めてね」
「は? はっきり言ってくれる?」ジェニファーは、低くハスキーな声でしゃべりがちなだけでなく、こもった話し方をする。
ジェニファーは困ったように見上げた。「はっきりとは分からないんだけど……あなたがいつもクリスチャンと付き合うことにこだわってるから、あなたに対して厳しいのかも」
レックスは瞬きした。仏教徒の友人の息子を押し付けようとする祖母を遠ざけるために、レックスはその戦術を使っていた。「それって変だわ。私たち四人がクリスチャンだってことを、おばあちゃんが気に入らないのは分かるけど、あからさまに敵対心を見せることはなかったのに……」今までは。
ジェニファーはまたヌードルを突き刺した。「おばあちゃんが本当に気まずくなるようなことを、松本さんは何か言ったのかしら」
「だから松本さんを切って、私たちを突っつき出した。特に、私を」
ジェニファーはうなずいた。
レックスはため息をついた。つまりこの一連の出来事は、ずっと複雑な問題なのかもしれない。彼女は、複雑なことが大嫌いだった。
「あのさ……」ジェニファーはまた唇を噛んだ。
「何よ?」
「聞きたくないかもしれないんだけど」
「大丈夫よ、噛みつかないから」
「そのチケットのことだけど……職場の外の男性にも影響してる気がする」ジェニファーの目は、同情を放っていた——哀れんでいるのではなく、レックスの痛みを取り去ってあげたいと願っているように見えた。
「どう言う意味?」
「キンムン」
勢いよく顔に息を吹きかけるように話し出した。「だけど、彼はチケットを頼んだわけじゃない。私の方から——」
「彼はその話題をどうやって持ち出してきた?」
レックスは思い返した。(「ハーイ、キンムン」「新しい仕事、始めたんだって?」「そう、シアトルに行くんだ」「試合に行けたらいいんだけど……」)
肺がつぶれそうになった。それか、心臓をえぐり取られたのかも。どっちにしろ、胸の中で巨大な空虚感がこだまするのを感じた。
「落ち込むわ——」レックスは椅子に深く座った。リストに加えよう。(私の仕事に関連した特典を知らないか、大学スポーツに興味がないこと)
「ごめんね、言うべきじゃなかったわ」ジェニファーは、お皿を横にどかした。
「いいの、気にしないで。私が現実を見なきゃいけないだけ」レックスは湯気が出ているヌードルをじっと見て、ため息をついた。「新しい戦略が必要だわ。私の仕事のことを知ってる人は信頼できない」
「そうすると、職場は問題外ね。バレーボール関係の男性が全てだめ、ってことじゃないけど」
「ワサマタユもだめ。他のスポンサーを探そうと思ってたんだけど、おばあちゃんは事実上日系アメリカ人コミュニティ全体に爪を立ててるの」
「レックス、おばあちゃんはさ、本当は私たちのことが好きなのよ。そうすることが私たちの幸せだって思ってる」
「冗談でしょ? おばあちゃんは自分を幸せにしたいだけよ」
ジェニファーは視線を落とした。
「あなたは楽よ。おばあちゃんは、いつもうちの親のところにいるんだから。譲歩した方がいいこともあると思わない?」
「思わないわ。そんなの、私のやり方じゃない」レックスはウエイトレスを呼んだ。「喧嘩も避けられないと思ってる。おばあちゃんの思い通りにはさせない——もっと型破りなことをしなきゃ」
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