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「ひとり寿司」をブログに連載します!
ひとり寿司
寿司シリーズの第一作
キャミー・タング
西島美幸 訳
スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。
ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。
そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。
エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。
レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——
過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。
8
カリフォルニアの服装規定はカジュアル。助かった。サンタナ・ローのクラスタシアン・レストランに入ると、レックスがはじめに抱いていた心配は、消えてなくなった。客の多くはジーンズ。だから彼女のシンプルな木綿のシャツは、場違いではない。
こんなにハンサムな男性と同席するなんて、何か特別な人になった気がした。ただ、品定めをする女性の眼差しに、ジョージは気がついているようだった。
「あの子たちのこと、知ってるんですか?」露出度の高い服を着て、まつ毛をパチパチさせ、くすくす笑っている女の子達に、レックスは会釈した。
ジョージは、注意をさっとレックスに戻した。「あ……いや」明るく、暖かい微笑みが光った。女の子達が彼の肩越しにため息をついているのが見えなければ、レックスはその微笑みに包み込まれるように感じたのかもしれない。(見たいだけ見ればいいわ、お嬢ちゃんたち。この人は私のデート相手よ)
彼はそうやって注目されるのを歓迎しているようだったが、「エペソ」のリスト五番め——「誠実さ」という問題を考えると、幸先が良くない。まあ、食事が終わるまで、このリストとジョージを比較することにしよう。
レックスはメニューをさっと見たが、食べたいものはもう決まっていた。いつもと同じものだ。
ジョージが顔を上げてレックスを見た。「カニ入りワンタンの前菜、一緒に食べない?」
「もちろん、おいしそうですね」リストに追加しよう。(私と同じぐらい美味しい食事を楽しむことができる人)
ウエイトレスが、紗のような宝石をちりばめたベトナムの民族服を着て、(映画アラジンの)ジニーのようにテーブルに現れた。「ご注文はお決まりですか?」鈴が鳴るような声だ。
ジョージの目は、メニューからウエイトレスの顔まですっと上がるのではなく——そのスレンダーな曲線の上をゆっくりと動いていった。レックスはあごが引きつった。リストにある「誠実さ」を考えると、ツー・ストライク。このデートはすぐに終わるかもしれない。
「カニ入りワンタンはシェアします。それから、僕はシーザーサラダと、ガーリックでローストしたカニ入りのガーリックヌードル」
少なくとも、食べ物の趣味はいい。「私も同じものをお願いします」レックスは大きいメニューをウエイトレスに返した。
「君、ペア・テクノロジーで働いてるの?」
レックスは嫌な顔をした。実に話したくない話題だ。「ええ、まあ」
「仕事はどう?」
「ええっと……」上司はシンデレラの邪悪な継父、同僚は七人の小人より風変わり、それにレックスは、エジプトで奴隷だったイスラエル人以上に働かされていた。一番正しい答えではないが、「まあまあ、です」
気まずい沈黙が二人の間を漂った。と言うか、食べ物がたくさん載ったお皿を誰かが床に落とした時に静まり返るレストランのように、バツの悪い静けさだった。
「ねえレックス、ミスター・ロボット、っていうペンネームのアジア人作家のベストセラー、読んだことある?」
レックスは瞬きした。冗談、だよね?「あの……ミスター・ロボットはアジア人じゃないと思います」
「何言ってるの? もちろんアジア人だよ。あの有名な歌は中国語か何かだよね」
レックスはジョージをじっと見すぎて、目が寄ってきた。こいつは完全なバカだ。「『ドモ、アリガト』は日本語で、あの歌はスティクスのです」
ジョージは、(何当たり前のことを言ってるんだ)という目を向けた。「あの、『すき焼きソング』もそのグループだよね」
「えっ?」すき焼きは、テイスト・オブ・ハニーとかいうグループじゃなかったっけ?
ジョージは深く腰掛け、その目は半ば閉じている。「知らなかった? 君、アジア系だから知ってると思ったよ」彼は笑った。見下してレックスの頭を軽く叩くようなことだけはしなかったが。
レックスの目が細くなった。こんな阿呆だったなんて、あり得ない——
ここベイエリアで、レックスがアジア系であることを話のネタにする人は滅多にいなかった——ダラスに住んでいる人が、誰かのテキサスなまりを話題にするようなものだ。ジョージがここまで失礼かつバカであることにショックを受けている自分がいる一方で、上から目線の気取った笑顔に平手打ちを食らわせたい衝動に駆られた。
(自制心よ。クラスタシアンで素敵なタダメシをいただこうとしてるの。タダっていうのを忘れないで)こわばりつつ、何とか笑顔を作った。「本当に多文化的なんですね」(ああムカつく)「ジョージさんの民族的背景は何ですか?」
「違う違う、僕はアメリカ市民で、サンノゼ育ち……」
リストに追加しよう。(無知な民族的コメントをしない)すでに「エペソ」かどこかに書かれてなかったっけ?
ジョージが自分の幼少時代のことをベラベラしゃべっている間、レックスは心ここにあらず、だった。彼に譲歩するのではなく、礼儀正しく否定するべきだったのかもしれない。このデートは、すでに下り坂に入っている。なぜ一晩中、時間を無駄にしないといけないのだろうか?
緊急課題は、(ガーリック味のカニがそこまで重要か?)という問いに答えることだった。確かに三ヶ月食べてない。正確には九七日間。そして、これはジョージのおごり。(決めなきゃ、決めなきゃ……)
「君って、誰かに似てるんだよね」ジョージはレックスを見て目を細めた。彼女のあごのかなり下の方を見ながら。
またとんでもなく間抜けなコメントを聞かされる気がしてきた。
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