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ひとり寿司第7章パート1




「ひとり寿司」をブログに連載します!


ひとり寿司



寿司シリーズの第一作

キャミー・タング

西島美幸 訳

スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。

ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。

そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。

エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。

レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——

過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。

***




レックスは、駐車場にある歩道の縁石の外側にすわった。太陽の弱い光のために頭が温かくなり、ストレートヘアがヘルメットのように感じられた。もう一度、深く息を吸ったが、ありがたいことに何もにおわない。少なくとも強いにおいはしない。刈られた芝が、土と何か花のようなにおいと混じったような、かすかなにおいがするだけで、ただ新鮮で無臭の空気だ。レックスの火山のような胃を、もう一度、噴火させるようなものは何もない。

靴のかかとの周りで円を描いているアリを見つめた。このスタートアップの会社で、レックスはあまり優秀な働きアリではなかった。女王アリは、エベレットやアンナの上司のように、理性がないものなのだろうか。

辞めるべきなのか——

いや、それは良くない。満たされているべきではないのか?「私は、どんな境遇にあっても満足することを学びました」と聖書に書いてある……

レックスがエベレットと口論になったように、使徒パウロは、ペテロとの筋の通らない口論に耐えたのだろうか? ペテロはエベレットより理性のある男のはずだ。

忍耐が必要だった。走り出したレース、走り通さなくては。自分の敵を愛さなくてはならない。

もっと強い胃が必要だった。

辞めてしまえば——

(言ってはダメだ!)

ピピッ、ピピッ。変わった鳥のさえずり……ああ、携帯の音だ。「ハロー?」

「レックス、チェスターだけど」

このいとこは滅多に電話をかけてこない。「どうしたの?」

「今日は笑顔にさせてみせるよ。欠員が出たんだ」

「うるさいわね! どうせ嘘でしょ。で、どんな職種?」

「実は……さ」

やっぱり。「チェスター、嘘をつくんじゃないわよ」

「受付」

レックスはうめき声をあげた。「お給料はいくら?」

「最低賃金」

減給か。だけど——SPZで欠員が出るのはめずらしい! SPZはシリコンバレーで人気のドットコム企業ではないが、北米のスポーツ系ウェブサイトのメッカで働くなんて、夢のようだ。毎日、一日中スポーツづくし。高校、大学、そしてプロ。山積みのスタッツ(スコア表)。レックスの頭はぐるぐる回り始めた。

彼女に受付がつとまるのだろうか? 考えただけで、少し身がすくんだ。メークをして、小ぎれいなスーツを着、バカな人たちに礼儀正しくする? これまでだって、レックスは、バ〇な精神異常者たちに親切にしてきた。「いいきっかけになるよね、チェスター?」

「もちろん。社内で配置換えがちょっとあったけど、SPZは去年の七月から誰も採用してないんだ。それにレックス、かなり恩着せがましいんだけど——採用担当者とは個人的な知り合いなんだよね」

「履歴書をメールするわ、今晩」

***

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