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「ひとり寿司」をブログに連載します!
ひとり寿司
寿司シリーズの第一作
キャミー・タング
西島美幸 訳
スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。
ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。
そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。
エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。
レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——
過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。
朝、レックスは勤務先であるハイテク製造会社のドアを開けた。ゴルゴンのような恐ろしい顔の女とインターンが怒鳴り合っている声が、耳に心地よく響く。
「あなたが散らかしたんだから、あなたが片付けるのよ!」事務員の怒鳴り声が、ロビーから廊下を通って部長のオフィスまで響いている。
「家族の集まりがあったんです!」新しく雇われたインターンのキャリーは、頭を横に振る理由がたくさんあるようだ。
レックスがガラスのドアを通って中に入る音も、その口論を止められない。
その中年の女性社員は、空調が利いたその場が凍るほど冷たくなりそうな目を、利口なインターンに向けた。「ソーダを缶ごとこぼしたのよ。せめてペーパータオルだけでも持ってくるべきでしょ!」
「誰かに押されたんです。私のせいじゃないわ!」
「関係ない! おとなしく責任を取れないんだったら、金曜午後の会社のパーティには来ないでくれる?」
キャリーのブルーとパープルのグリッターがついたアイメークが、蛍光色の天井照明でキラッと光った。「オバサンから会社のパーティに来るな、って言われる理由はないわ」
(その調子、ゴルゴンをコケにするといい。他の従業員が、一日中彼女と仕事がしづらくなる)
レックスはロビーの端を通り、自分のキュービクル(個人用に仕切られた仕事場)へと急いだ。独身者のたまり場をキャリーに勧めてもらうのは、今朝はやめておこう。午後だったら大丈夫だろうか。それに、あの事務員とまともな会話をするのは、今日は無理だろう。不動産屋は他の人に推薦してもらおう。
二人の同僚を通り過ぎた——ゴシップ・ツインのGTワンとGTツーと密かに呼んでいるのだが、部長のオフィスから一番離れたキュービクルで、いつものように肩を寄せ合って、ひそひそ話をしている。
「あの子、昨日呼ばれたって聞いた?」GTワンは、いつも自分の声は遠くに響かないと思っていたが、キュービクルを二つ離れた所にいるレックスには聞こえた。
「書類に印鑑を押すことで何か怒られたそうよ」自己満足で人を見下すようなGTツーの少し柔らかめの声も、しっかり聞こえている。
「サボって確認しなかったとか?」
「彼氏から電話がかかってきたせいで、気が散ったのよ」
ゴシップ・ツインは二人とも若く、社交的だった。ほんの一瞬、レックスはこの二人に男性と会える場所を聞こうかと思ったが……彼女たちがクスクス笑っている横を通り過ぎた。
自分のキュービクルに着くと、黄色いスティッキーパッド(貼る付箋)の上に走り書きされた大きい字が目に入った。「話があります~エベレット」
何だろう? CADの作業は昨日、終わっていた——予定より先に進んでいる、自分に感謝——それなのに、エベレットはどんな文句があるのだろうか?
「どうして新しい椅子が必要なんだろうか?」オフィスのドアにレックスが現れると、エベレットは何の挨拶もなく、こう言った。
「背中が悪いので、エルゴノミック・チェア(人間工学的に配慮された椅子)が必要なんです」(当たり前でしょ)
「君の椅子は問題ない。壊れてないんだろ?」ハゲ頭が光り、赤くなってきた。最高。癇癪が始まる前兆だ。
「後ろの調整ネジが外れてて——」
「だったら修理すればいいじゃないか。新しい椅子は必要ない」エベレットはそう言って、注文書を散らかったデスクの方へ投げたので、注文書は他の書類の海の中に消えてしまった。
「マークさんが私の椅子を見てくれたんですが、彼が言うには——」
「マークって一体誰だ?」エベレットが乱暴に頭を上げると、薄い髪がたなびいた。
「うちの修理部長です」
「ああ」エベレットは咳払いをした。「それで、彼は何て言った?」
「新しい椅子を買うようにと」
「じゃあ、どうして彼がホームデポ(大きなホームセンター)に行って、椅子を買ってこないんだ?」
「先週一緒に行ったんですが、合うのがありませんでした。デスクが高すぎて、私の足は短すぎるんです」
「だからって、二五○ドルの椅子が必要なのか?」
「これが一番安いエルゴノミックでした」
「特別なエルコ——エルゴック——ノミックチェアなんて必要ない」
「今の椅子は、腰が痛くなるんです」
「ナンセンスだ! それは、君がバレーボールをしてるからだろう」
もう切れた! 目の前に、梅干しのように赤いモヤがかかった。「この会社で働き始める前から何年もバレーボールをしてますけど、このデスクで、このコンピュータ用の椅子を使い始めるまで、背中の問題はなかったんですよ」
「傷害が遅れて現れただけだろう。答えは『ノー』だ」エベレットはどうにかしてデスクから注文書を見つけて——いや、見つからなかったのかもしれないが、それらしい紙を手に取り——くしゃくしゃに丸めた。
レックスは、「雪崩!」と叫んで、彼のデスクに積み上げられた書類をバサッと落としてやろうかと考えた。それともダンプカーのように、高級なレザーの椅子から彼を振り落とし、その椅子をもらって自分のキュービクルに戻ろうか。彼のコンピュータのケーブルを引き抜いて、彼が降参するまで身代金として取り上げるのもいい。
レックスは歯ぎしりし、向きを変えて拷問部屋を出た。
急いで通り過ぎていく人に、もう少しでぶつかるところだった。「ああ、ごめんなさい、アンナ……どうかした?」
アンナの赤くなった顔は、さらにくしゃくしゃになった。鼻もネオン色だ。
「またあのボス?」
「昨日はうまく行ってたの……笑って冗談を言ったりして。今朝は怒鳴られて、植木鉢を投げられた。私の仕事が手抜きだって」
レックスは目をぐるっと回し、アンナと一緒に廊下を歩いてキュービクルに戻った。彼女のボスのオフィスから遠ければ遠いほど、いい。
レックスは鼻をすするアンナに寄り添って歩いたが、彼女の肩に腕を回すのをためらった。男性よりも女性に触れる方が気まずくないけれど、体が触れるのは、まだダメだった。
アンナの腫れた目から涙が溢れた。「どうしてもあの人を理解できない。とても気分屋なの。話していても、いつ笑うのか、噛みつかれるのか、全然分からない」
「助けになって欲しいんだったら——」
「違う、仕事じゃないの。あの人と働くのが精神的な苦痛なのよ」アンナは号泣している。
レックスのデスクにはティッシュがなかったので、隣のキュービクルに手を伸ばして、そこからティッシュを引っ張った。アンナはそれを手の中でもみくちゃにし、顔をそっとたたいた。
彼女が落ち着くまで、レックスはそばにいた。アンナは鼻をかみ——音を立てて——ゴミ箱を探した。
レックスのゴミ箱はどこに行ったのだろう?
「あれ……」レックスは両側のキュービクルをのぞき込んだ。どちらの側にもゴミ箱がない。どうしたのだろうか?
アンナの手は、ティッシュの行き先を求めて動いている。
レックスは急にこみ上げてきた胆汁を飲み込み、手を差し出した。「私にちょうだい。ゴミ箱を見つけるから」かわいそうな子。頬はベタベタしているように見えたが、レックスは「体液恐怖症」をあからさまに顔に出して、今以上にアンナの気分を害することはできない。
アンナは足を引きずって出て行き、レックスはキュービクルの間をジグザグに進んでゴミ箱を探した。ゴミ箱を全部盗んだのは、一体誰?
「うっそー、やだー!」キャリーの金切り声が、銃弾スプレーのようにキュービクルの壁を貫通した。
キャリーは明らかに災難の渦中にあるようだ。これ以上、劇的なことに巻き込まれるのは避けたかったが、運悪く、キャリーのデスクはそれほど遠くなかった。デスクから飛び跳ね、手を鶏のようにバタバタさせ、口を大きく開けてさらに叫び声をあげ、ステアマスターでエクササイズ中であるかのように足を上下させていた。
ジェリーがキャリーの後に続いた。少しよろけ、顔色が悪い。「ごめん、キャリー……」
キャリーは彼を無視し、うめき声をあげながら、ピチピチのTシャツの上のベージュと薄紫の模様を、紫色のマニキュアを塗った指で払い落とそうとしている。
いや、模様ではない。肩を越えてキャリーの胸まではねているのは、嘔吐物だった。
ジェリーの。
「座ってたの! 自分のコンピュータの前で! ジェリーは立ってた! 私の後ろで! それで急にゲロったのよ!」キャリーはヒステリーを起こしていた。
レックスは片手で口を押さえた——汚れたティッシュを持っている手ではない。だが今となってはどちらでもいい。胃の中がかき回される気がしてきた。(息をしちゃダメ。見ちゃダメ)朝食べたシリアルが、今は、お腹の中に居たくないようだった。(いや、シリアルのことを考えちゃダメ!)早くトイレに行かなくては——
ジェリーは、不安定に傾いているキュービクルの壁にもたれた。「悪い、キャリー」長く、ゆっくりとしたため息をついた。「昨日の夜は、ビールを一、二杯飲んだだけ……」
突然、彼の目が大きくなった。エルマーズ・グルーで糊付けされたように鈍い顔をしている。彼は大きく緩んだ唇を押さえた。
そして、カーペットじゅうに解き放ったのだった。
キャリーの尋常ならぬ叫びに駆けつけた人たちが、一斉に「オエーッ!」という声をあげた。
レックスは声が出ない。息もほとんどできない。そして目がくらみ始めた……
ジェリーは咳をして、唾を吐いた。
レックスはトイレに猛ダッシュした。
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