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「ひとり寿司」をブログに連載します!
ひとり寿司
寿司シリーズの第一作
キャミー・タング
西島美幸 訳
スポーツ狂のレックス・坂井 —— いとこのマリコが数ヶ月後に結婚することにより、「いとこの中で一番年上の独身女性」という内輪の肩書を「勝ち取る」ことについては、あまり気にしていない。コントロールフリークの祖母を無視するのは容易だ —— しかし、祖母は最終通告を出した —— マリコの結婚式までにデート相手を見つけなければ、無慈悲な祖母は、レックスがコーチをしている女子バレーボールチームへの資金供給を切ると言う。
ダグアウトにいる選手全員とデートに出かけるほど絶望的なわけではない。レックスは、バイブルスタディで読んだ「エペソの手紙」をもとに「最高の男性」の条件の厳しいリストを作った。バレーボールではいつも勝つ —— ゲームを有利に進めれば、必ず成功するはずだ。
そのとき兄は、クリスチャンではなく、アスリートでもなく、一見何の魅力もないエイデンを彼女に引き合わせる。
エイデンは、クリスチャンではないという理由で離れていったトリッシュという女の子から受けた痛手から立ち直ろうとしている。そして、レックスが(1)彼に全く興味がないこと、(2)クリスチャンであること、(3)トリッシュのいとこであることを知る。あの狂った家族とまた付き合うのはごめんだ。まして、偽善的なクリスチャンの女の子など、お断り。彼はマゾヒストじゃない。
レックスは時間がなくなってきた。いくら頑張っても、いい人は現れない。それに、どこへ行ってもエイデンに遭遇する。あのリストはどんどん長くなっていくばかり ——
過去に掲載済みのストーリーのリンクはこちらです。
「ママのとこへ帰りな」キンムンがオムツを履いたお尻をぽんと叩くと、幼児はよろよろと歩いていった。
「それで、キンムン——」
流れるような動きで、彼はそのひょろっとした体を持ち上げた。「みんなと食べに行くんだろ?」ドアの方へ向かった。
レックスのことを待ちもしない。レックスは苛立ちを呑み込んで立ち上がり、バッグをつかんで彼を追った。
とりあえず、ジムから出るとき、ドアだけは押さえていてくれた。
みんなが駐車場へ向かう中、二人の周りには他の選手たちがいた。
「どこへ食べに行くのかな?」キンムンは歩道に落ちた枝をよけた。
レックスは肩をすくめた。「多分、いつものとこでしょ」
「マイケルズ・ダイナーは飽きたよな」
「じゃあ、月曜日の夜十時以降も営業するように、他のレストランを説得しなさいよ」毎週この会話をしているのではないだろうか?
車に着いたとき、レックスはトランクを開けるキンムンの方に近づいた。「あの——」
「おいキンムン、この前、ジャイアンツの試合見に行ったのか?」チームメートの一人が異常に大きなバッグを引っ張りながら走ってきた。
「いや、スポーツセンターでハイライトを見たよ。お前は?」
「ああ、ティーボに録画してある」
「おお、いいなあ。DVDに焼いてくれよ」
「もちろん」
「サンキュー。それじゃあな!」彼とバッグは重々しく離れていった。
「キンムン、私とデートしない?」あっ、とちょっと脅迫じみた言い方だった。
濃い眉毛が上がり、日焼けした額にできたシワは、後退気味の生え際まで届いている。「え?」
「あの……私とデートしたい?」
「デート? 何ていうか…… 」
「デートよ」
「だけど、いつも遊んでるじゃないか」
「違うの、友達としてじゃなくて」やれやれ、こうやって関係を明確にするのは大の苦手だ。待って、これは関係を明確にするための会話なのだろうか? うわ、何か変だ。
「うーん……」キンムンは頭をかき、下を向いた。
分かった、これは悪いサインだ。すぐに、「そんなこと今まで考えたこともなかったよ。もちろんさ、やってみよう」と言わなかった。
「うーん、って、それだけ?」
「ただ友達でいるのがいいんだけどな」
あーっ。「ダメダメ、それはダメなの」しまった……声が大きすぎたか? もう一度言おう。「私のことを友達以上のものとして考えたこと、一度もないの? 本当に?」
「君ってさ……、弟みたいだから」
「弟? 男ってこと?」
「そうそう」キンムンは笑顔を見せた。
「私って何? 中性?」もう少しで金切り声になりそうな声だった。祖母は間違っていた。男を捕まえるのに、乳房を大きくする必要はなかった。
笑顔が消えた。「違う、君は……妹だ。そうそう、妹みたいなもんだ」
自分は、そんなに魅力的ではないのか——(待った、そんな考えはやめよう。バカげている)
「だけど、私はあなたの妹じゃないわよ」
「うーん……それもそうだ」
「じゃあ、どうして妹だって思うの?」
「さあ」
レックスはこの会話にリセットボタンを押す必要がある。「じゃあ、試してみましょうよ」
「何を?」
「デートよ」
「何でだよ」
「何でやってみないのよ」
キンムンはそこに立っていたが、レックスは、彼の左脳の論理的思考にギアが入って回転し始めたのが、見えるようだった。「う……ん」
「何かいい理由を言ってよ」
「ええと……」彼は頭をまたかいた。「まあいいかな」
「やった!」
キンムンは、元気一杯のレックスを見て飛び上がった。その笑顔に少し苦痛が見える。ちょっと大きな声で叫びすぎたかもしれない。
気持ちが変わる前に予定を入れないと。「メールするわ。今週の土曜日はどう? 空いてるでしょ?」
「ええと……」ギアがさらに回転している。「まあね——」
「よかった! FJLに連れてってくれる?」
お気に入りのイタリア料理店の名前が出たら、キンムンの顔が明るくなった。「オッケー」
「予約しておくわ。七時に迎えにきてね」
「分かったよ」
レックスは歩いていった。それほど悪くなかったようだ。ちょっと突っつくだけで済んだのだから。
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